抗う蝕性環状イソマルトオリゴ糖(CI)の実用化技術開発

タイトル 抗う蝕性環状イソマルトオリゴ糖(CI)の実用化技術開発
担当機関 (独)食品総合研究所
研究課題名
研究期間 2002~2005
研究担当者 舟根和美
発行年度 2005
要約 原料デキストラン高生産菌の探索、CI 生産菌の酵素活性を高めるための育種、CI 生産と精製技術の開発を経て、CI サンプルおよび、CI を添加した実用に供しうる 砂糖製品を試作した。試作した CI サンプルは、0.5%の低濃度で、ヒトのう蝕菌で あるStreptococcus 属菌による不溶性グルカンの合成を効果的に阻害することが判明 した。
キーワード サイクロデキストラン、環状イソマルトオリゴ糖、デキストラン、サトウキビ
背景・ねらい サイクロデキストラン(CI)は、食総研らのグループが 1993 年に発見した、グルコースが α-1,6 結合 で連結した構造の環状オリゴ糖である。CI は極めて水溶性が高く、抗う蝕性という優れた能力を有し、 食品への応用が期待されてきた。本研究開発では、原料デキストランの効率的生産、CI 合成酵素生産 菌の改良、CI 精製法の開発、CI安全性の問題解決など、実用化に向けた技術開発を行った。
成果の内容・特徴 1.CIの原料となる良質のデキストランを、代表的実用菌株Leuconostoc mesenteroides B512F株より も短時間で大量に生産する Leuconostoc sp. S-51 株を得た(図1)。また、原料糖として安価なサ トウキビ汁や廃糖蜜を用いる技術を開発し、デキストラン生産効率を高め、コストを低減した。
2.CITase生産菌株Bacillus circulans T-3040株に薬剤等による変異処理を繰り返すことにより、図2 に示すように、野生型の 100 倍以上の CI 合成酵素活性を生産する変異株を取得した。
3.サトウキビ汁等の砂糖原料から、上記デキストラン生産菌、CI 生産菌を用いて CI を生産し、活 性炭処理、膜分離等によって CI を精製し、CI 製品サンプルA、B、C、Dを生産した。それぞ れの糖組成を分析した結果を表1に示す。
4.いずれの CI サンプルも 0.5%の濃度で、ポリフェノールよりも有効にヒト虫歯菌のグルカン合成 酵素による不溶性グルカンの合成を抑制した(図3)。Bよりも精製処理を簡略化したA、C、 Dサンプルは高分子の CI および直鎖イソマルトオリゴ糖が混入しているが(表1)、これらはグ ルカン合成抑制効果を弱めることはなかった。
5.黒糖から活性炭カラム等で多糖、単糖、砂糖を除去し、酵素処理によって直鎖オリゴ糖を除去し た後に CI-7、CI-8、CI-9 と同じリテンションタイムに溶出するオリゴ糖が検出された(図4)。 これらは酵素分解試験により、グルコースが α-1,6結合した構造であることも確認された。さら に質量分析計で CI-7、CI-8、CI-9 と全く同じ分子量である事も確認した。以上のことから CI は 黒糖中に存在する天然物であることが示唆された。
6.図5に示すように、CI を砂糖の 1.6%添加して均一に混合し、顆粒状に形成し、CI 添加砂糖製品 を試作した。
成果の活用面・留意点 本研究で開発したデキストラン生産菌株、CI 生産菌株を用い、砂糖を含む作物や廃棄物から効率よ く CI を生産することができ、食品産業等で用いることが可能であると考えられる。今後、CI価値 を高めるためにも特定保健用食品として認可されるよう試験を重ねていく必要がある。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010000170
カテゴリ 育種 コスト さとうきび タイム 薬剤

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