労働時間を考慮したふん尿処理施設投資限界額算定手法

タイトル 労働時間を考慮したふん尿処理施設投資限界額算定手法
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究課題名
研究期間 2000~2003
研究担当者 鵜川洋樹
細山隆夫
若林勝史 
藤田直聡
発行年度 2003
要約 酪農経営の作業調査等より求めた追加可能労働時間および乳牛飼養頭数と耕地面 積から増加飼養頭数を算出する。この増加飼養頭数より所得増加額を求め,さらに資本回 収法を用いて投資限界額を算出する。
キーワード 酪農経営,ふん尿処理施設,投資,労働
背景・ねらい 北海道の酪農経営におけるふん尿は圃場還元を基本に,条件のある経営では麦稈との交 換にも利用されている。ふん尿を適切に処理するには,散布等に多大な労働時間が必要で あり,その不足が適切なふん尿処理の阻害要因になっている経営もあり,こうした経営で はふん尿処理の外部化が必要である。他方,労働時間に余裕のある経営では施設整備によ るふん尿処理が可能であるが,施設整備には多額の投資を要し,その回収には所得増加が 求められる。いずれの場合も,適切なふん尿処理には労働時間の視点が欠かせない。とこ ろが,従来の投資限界額算定手法にはこの視点が欠けていた。ここでは,労働時間に余裕ある経営が,所得向上のために飼養頭数を増加させることを前提に,ふん尿処理困難に ならないための労働時間を考慮したふん尿処理施設整備投資額算定手法を開発する。
成果の内容・特徴 1.ここで開発した手法は,酪農家の経営条件(労働力,乳牛飼養頭数等)および労働条件から増加可能な飼養頭数を求め,そこから所得増加額を算出することにより,ふん 尿処理施設導入に当たって投資額の上限(以下,投資限界額)を算定するものである。 なお,ここではふん尿処理施設投資の回収を飼養頭数増加による所得額増加によりま かない,増加する飼養頭数に要する飼料はすべて購入することを前提としている。
2.手順として,まず,酪農経営の作業調査等より求めた追加可能労働時間および乳牛飼 養頭数と耕地面積より明らかになった追加散布可能量,堆肥麦稈交換適期の追加可能 労働時間から増加飼養頭数を算出する。この増加飼養頭数より所得増加額を求め,さ らに資本回収法を用いて投資限界額を算出する(図)。なお,受入可能量は作目別ふ ん尿受け入れ量×耕地面積で算出する。
3.この手法を十勝管内の2戸の酪農家(A農家:経産牛飼養頭数 102 頭,B農家:同 67 頭)に適用した(表1)。その結果,労働時間を考慮したふん尿処理施設への投資限 界額はA農家 1,820 万円,B農家 1,988 万円と算出される。したがって,両農家がふ ん尿処理施設へ投資する際には,この限度額に収まるような施設の選択が求められる。 なお,この投資額の回収に必要な経産牛増加頭数はA農家 10.3 頭,B農家 9.6 頭,麦 稈交換に用いるふん尿量はA農家 141.4 t,B農家 306.4 t,作業適期における余剰 時間はA農家 10.3 時間,B農家 348.5 時間になる(表2)。
成果の活用面・留意点 1.乳価や副産物価格の変動,飼養方式の転換(つなぎ方式からフリーストール方式への移行等)がある場合は,係数の修正等が必要である。
2.試算結果から得られるふん尿量と交換される麦稈量が,各農家の契約(ふん尿と麦稈の交換量)を上回らないように経産牛追加頭数を補正する。
URL http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010000011
カテゴリ 経営管理 乳牛

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